ロッサ氏の導火線

いや、見事に火が付いちゃったわけだこれが。
私は彼の人となりはちゃんと知っているのだが、温厚な性格の彼ががっつり文句を垂れている姿はあんまり知らない。


反面、私の処理能力はある程度評価されると言う謎の事が起きている。
私は交渉に向く人間ではないと言うのは自覚しているわけだが、
ロッサ氏はもっと向かないであろう、と言うのが今回の一件で顕わとなった。奴がひとたびカチンと来たら、きっとあらゆることが終わる。


しかし、そんな彼がとても頼もしいように思ったりもする。
多分、私は何か気に障ることがあったとしても怒ることは出来ないだろう。怒り難い性分なのだ。
不条理を苦笑いで済まそうとする、事なかれ主義とでも言おうか。端的に言えば気が小さい。
だが、ロッサ氏の性格だと不条理は絶対に見落とさない。筋が通らない話で首を縦に絶対に振らない。


私は、話を円滑に進めるだけで良い。何らかの不備があればロッサ氏が勘付く。
スピーカー製作は実に順調だと言えるだろう。一件見事に御破算になったが、これは意義のある一件であったように思う。