だから俺はいやだったんだ

然る理由があって、パソコン用に使っていたケンウッドのオーディオシステムがアップグレードされた。
プリメインアンプにラックスマンのL-68Aと云う渋い逸品を
スピーカーにはJBLのトールボーイ型のA850なるスピーカーを

一見すると、「おっ、一気にコンポから単品になったぞ」なんて思わせて、
それこそアップグレードとか言う単語まで出てきそうだがちょっと待て。
アンプはともかく、スピーカーにポテンシャルのあるものを配置すると言うことの意味は
全く考えなかったのだろうか?いや実は考えてた。多少疑念があった。
しかし、実際に持ってきて置いてみると疑念なんてものじゃなく明らかな違和感があったのだ。


部屋の形状上どうしても右スピーカーは壁に寄る。正確に言うと引き戸に寄るわけだ。
これがどういう音響上の欠点になるかと云うと、右スピーカーの低音がとてもよく響く。
これはスピーカーの側面と背面に壁があるからだ、と云うことは経験上知っている。知識ではなく実践的に知っている。
となると左スピーカーを下げて壁に近づける、そうすれば多少の低音は稼げる。
同時に右スピーカーも壁から離すように配置する。こうすれば壁の影響を多少は受け難くなる。はず。
そういった塩梅で左右の低音の定位を算出していけば良い。あとは角度等の微調整で中高音のバランスを取れる。
そう、思っていたんだ。


浅はかだったね。知識はあっても経験が明らかに足りてないから見誤るんだね。
どう頑張ったって(現状では)低音の定位なんて欠片も出ないね。
打開策としては、以前このスピーカーが使われていたように逆オルソン式を採用するのが手っ取り早そう。
部屋ごと反射音で揺らせばあんまり影響も無いだろう。しかし、この手狭な私室で逆オルソンは不可能だ。無理がある。


結論。無闇に高性能のパーツを組み込めば幸せになれるわけではない。
適材適所と云うものが確実に存在していて、それは品質を上げることで改善されるものではないのだ。
特にスピーカーにはそれが顕著で、大変に扱い辛い。
オーバースペックと云う単語を偶に耳にするが、これは場合によっては褒め言葉や誇大表現等ではなく、
ただ、そこに必要の無い過分な性能を指して言う言葉だろう。


アンプやCDプレイヤーなどの場合はまた違った問題があると思われる。
しかし、良い勉強になった気がするよ・・・ある程度のところまでは、オーバースペックなんて疑わなかったんだものな・・・。