遊びの価値

再生音楽と言うのは大多数の人間にとって遊びである。再生音楽で商いをしない限り遊びの範疇である。
漢の遊びと言うのは浪漫を追い求める自然な行為だ。故に様々なルールを科すことも往々にしてある。
ルールの厳しさでその人の遊びの度合いがわかってくる。
「ただやってるだけの遊びにルールなんて決めてない」と言う人も居るし、
「ルールが本格的過ぎて遊びの域を超えそう」と言う人も居る。そこに関して余人が口を挟むことは無い。


ロッサと言う男のルールはとても厳格である。再生音楽と言うものに対する要求も極めて過激だ。
この春、ルームチューニングと言う課題を乗り越えた記録を取っておこうと思う。



再生音楽の肝は機材2:部屋8の割合くらいになってくると思う。高額な機材を入手した人間なら分かってもらえるとおもうんだが、
どれだけ高額機材をそろえたところで、部屋のキャパシティが足りなかったらなんの良さも感じられないのだ。
この図式に乗っ取って言うならば「定価100万する機材を導入するなら、部屋に400万くらいの投資をしておけ」と言うことになる。
エベレストなんて買ってしまったら、もう普通に部屋に置けないだろう。その図式で言うならば部屋を建てなきゃならない。


部屋に金を掛けろと言うのは、少しわかり難い表現だ。分かりやすく言うならば、「視聴室を準備しろ」と言う事になる。
部屋の響きを悪くするもの可能な限り取り除き、最も効果的な位置にスピーカーを置き、最善の場所に椅子を配置する。
こんなことをやっていたら自宅の至る所にしわ寄せがくるので家人にし大して申し開きの金銭を用意する、と言っても良い。そのうえで
始めて再生音楽の道が啓かれるのだ。深淵を除く権利を得るのだ。


まずはフラッターエコーの除去を行うべきだな。手を叩いて響きを感じる。伸びるようではよくないので、
吸音用のスポンジなどを駆使して響きを整えよう。時間は掛かるかもしれないが反射音の制御をしなくてはまるで始まらんのだ。
可能な限り少量で済むように効果的に配置しよう。壁や天井など様々なところにスポットがあるので、それを感じよう。
手を叩いたときに"手のひらの肉感を感じるくらい"がもっともよいと思われる。考えるな感じるんだ
スピーカーのセッティングなどと平行して行うと良い。もちろんその間もスピーカーのセッティングを怠ってはならない。
定位をだし、低音や高音のバランスに気を配り、かつ自分の好きな音に纏め上げる練習を行わなければ再生音楽をやっている意味がない。
なんらかのラックは必ず必要になるし(オーディオ用が好ましい)、インシュレーターも貪欲に試そう。
硬い物柔らかい物。ホームセンターで探すのも良いし、音響用のものを調達しても良い。あまり金を掛け過ぎないことがポイントだ。
フラッターエコーと反射音を制御できるようになれば立派な中級者になっていると思う。この時点でCDの保有枚数は500〜1000枚くらいになってないとダメ。



ロッサ氏と春のルームチューニング祭りでやったのはこの先である。まあ上に書いたことなんてアバンですね。
フラッターエコーを取り除き、反射音の制御を可能となった人間が次にぶち当たるのは部屋の広さである。
38センチウーファーを駆動させるなら20畳くらい欲しいですね。ウーファーがボンボン動くというのがどれだけ空気が必要なのかがわかると思いますが、
狭い部屋では鳴らんのですよ。鳴らないというのは、音量を上げられないという事です。極めて深いな音になりやすい。
その原因をたどっていくと、セッティングの甘さ部屋の広さの何れかの理由になると思います。
「なら家を建てようか」なんてブルジョワは居ないだろう・・・。じゃあどうやって部屋を広くするかと言う事になりますね。正確には
どうやったら部屋が広くなったように錯覚する音が出せるかになります。物理的に部屋を広くする工事は流石にできませんよね・・・。



しかしながら我々はやりました。この部屋は昨日完成したのですが、能率89のXRT20でピーク100W再生を可能な部屋を実現しました。
100Wの再生をしても心地よい音楽を成立させることに成功しました。それは機材のセッティングとルームチューニングのバランス双方が極めて高い位置であることの証です。
筆舌に尽くしがたい音楽を聴き、男が二人で音楽を聴き涙するという本当にむさ苦しい光景がそこにはあった・・・。



これは文章で語ることではないと思う。私としてはロッサ氏の部屋に一人でも多くの同好の士を招かれることに期待したい。
「私がこの部屋の改装の指揮を執りました」と言えるといいなと思う。