過酷


模型人生を振り返って、とくに海外の飛行機に対して憧れたことはなかった。第二次世界大戦な。
本当にまったく知識が無かった。雷電とか紫電とかのほうが好きだった。
近年知り合った人間で、妙に国粋主義のある人物が居るのだが、
その人はなぜかメッサーシュミットスピットファイアなどを好んでいて、
「なんか言ってることと嗜好がちぐはぐだな」と思っていたのだが、まあそんなのは与太話である。



今回選んだのは、そんな無知蒙昧な私の観点から
「あ、この飛行機かっこいいぞ」
と純粋に思ったものをセレクトしてみた。いや、何がってボックスアートなんだが・・・。


そんな感じで実に適当に選んでしまったのである。ハセガワのE型だった。特に加筆するべきところもない、
平凡な模型である。今の情勢を正しく汲んでいればそこはタミヤのグスタフだろうと言いたくなるのだが、
私はG型のあのボイレが苦手なので対応に困っている。ハルトマン機を作りたいのでたぶん作るが。


現在の作業工程はリベット打ちの段階だ。適度に図面を眺めつつ作業しているのだが、
パネルラインが合わない部分が出てきたので埋めて掘りなおしたりしている。
実に地味だが、これは天山の時点と比較してみると偉い違いである。感覚的には"月面を歩いた"くらいの出来事だ。
そのぐらい筋彫りを忌避していたのだが遂に観念して断行しているわけだ。
当然、Bf109に取り組み始めて間もないころに適当に掘ったパネルラインなどゴミ同然の代物となるくらいには必死に掘っているので、
そういう古傷みたいなものも埋めて掘りなおしたりしている。


この模型は筋彫を実体化した如き存在だ。悪魔のような存在だ。
パテ盛りなど、わりと原型が無くなるってレベルまでやらされているので、ちゃんと完成するか不安だ。