D/Aコンバータ 覚書

二十四時間ほどゴールドムンドのD/Aコンバータを試聴する機会があった。
ゴールドムンドぉ?なんて卑屈な偏見に満ちた私の私見を書き殴って、未来への糧にしようとこの記事は作られました。



今回の試聴に用いられたのは近年PCオーディオとして使用される、所謂ダックというものとは別物です。
セパレート式のCDプレイヤーに使用される類の代物です。





第一印象はとくになにも感じませんでした。持ち込んでくれたロッサ氏も「別に君のところに必要ないと思うよ」なんて言ってた。
まあ大体はそんな感じで半日は過ぎ、ロッサ氏が帰ったあと、セッティングをフラットにして再度試聴。
前言撤回だ!なんだこの高音の抜けの良さは!なんでこの高音に数時間前に気づかなかったし・・・
(私の名誉のために書き加えておくと、音響レンズを修理したり改造したりして遊びながらだったからである。
音響レンズを装着した状態の音に耳が慣れていなかったのだった)


この高音の抜けはやっぱりCDプレイヤーを換えたときを思い出すな。まあ回路は変わってので別物なわけだけど。
真空管のアンプがこんなにも微妙なニュアンスを表現できる物だとは知らなかった。
時折そういう「真空管侮ってました現象」が起きるな。やっぱり構造的に旧式なイメージがあるのだろう。なんど衝撃を食らっても拭いきれないほどに。


さて、このD/Aコンバータの強いところは書いておいたが、次は悪い点を書き殴っておこう。
先ず、低音がやや痩せる点がネックと言えばネックになるだろう。爽やかな余韻と低音の重厚感は恐らく両立させるのが難しいのだろう。
また、この点がゴールドムンドというメーカーの特色だ、とも念を押された。企業イメージが低音より高音に重きを置いたものなのだとしたら納得ではある。
が、なんらかの形で低音を増強してやらないと「ほんの少し味気ない」と思う人も多いと思う。


そしてもう一つ。ボーカルにほんの少し色がつくイメージがあった。
私の稚拙なコレクションの中に無加工のボーカルの録音がいったいどれだけあるか、と言う点を鑑みるに
恐らくは「ボーカルに殆ど色がついていない曲だけど、ほんの僅かに味付けされた後付のエフェクト音を敏感に拾い上げている」と言ったほうが正しいだろう。
これが嫌で仕方が無いという人は、大問題だろうし、そういう人は導入しないだろう。
個人的には、「悪くはないが、今後CDのコレクションが偏る可能性が高い」と言ったところだろうか。やはり稚拙な録音の盤では耐えられない部分が出てしまう。
それなら録音の良好なアーティストやレーベルで買うしかなくなってくるだろうが、まあその点に関しては随分前から少しずつ変化を加えている点なので大丈夫だろう。



あと、これは非常に微妙なものなのだが、"音が小さく聴こえる"気がする。
迫力がやや失せると言えば言いのだろうか?何度か繋ぎかえをしてD/Aコンバーター有りと無しを行き来した上での印象だから多分間違いは無い。
恐らく低音と一緒に抜けてしまう、あるいはマスキングされる音域帯があって、その部分が曲の迫力に相当する部分なのではないか?と言うのが勝手な想像だ。
音量で言うと1割以上は小さく聴こえる。勿論ボリュームの位置はマスキングで目印したうえでの感想だ。
これが悪いと言う場合は、恐らくアンプに力が無い場合は悪い風に作用するのではないだろうか?
私の使用しているのはA級アンプなので出力はB級等と比べて劣るが、力に関してはなんら劣る部分は無い。(と思っている)
そして、私のモットーである「音量を上げても煩くならない音」を作るためにはどうやらこいつは欠かせないピースになる可能性がある。



だいたいこんなところだろう。
まとめると、「高音は素晴らしいが低音に難があるためなんらかの対処が必要。しかし買う価値はある」
また、他のメーカーのD/Aコンバータに「高音が抜けて低音が減らないものがありますか?」と質問してみなければならないだろう。
勿論その問いに対してなんらかの機材を指して話になるかもしれないし、
現状のプレイヤー内臓のD/Aコンバーターで十分だろうと言われるかもしれない。
まったく別の部分を指摘されてそこを変更することになるかもしれない。



なんにせよ、一つの経験をして新たな可能性を見出した、と言った所だろう。とても有益な一日であった。
まあ、これだけ書いておけばいつかこの記事を参照した際になにか役に立つだろう。
あとこの経験を経てゴールドムンドに対する偏見は無くなった、ように思う。Q.この静けさは一体何から生まれているのか?A.これがゴールドムンドだ! で片がつく。