回想、アンプの話

運命と言う言葉が嫌いな私が、運命を感じた話です。
そういう前置きだとくだらないような気もするけど・・・


話はスピーカーを購入したばかりの所まで遡ります。
質の良いスピーカーを安く手に入れることは成功したものの、
当時使用していたプリメインアンプではまともに鳴らすことが出来ない、と言う状態でした。
あらゆる点で性能が不足しており、「じゃあ次はアンプだな」と話が流れるのはごく自然だったと思います。


そして話はもっと遡ります。
真空管は、好きじゃない」
どんなに良い音が出ても、クソ熱くて危なっかしいものを管理したくない。
それが私のギタリストとしての感想で、ジャズコーラスで勝負していた頃の話です。
まあ当時は金も脈もなかったですし、真空管アンプを扱える機械なんてそうは無かったのですが、
友人が真空管を使用したエフェクターを作ってまして、そいつを弾かせてもらった時からもう既に私の中の真空管への印象は決まっていました。
にもかかわらず!このアンプを選んでしまったのであります・・・本当にわけがわからない。(熱量なんかで言ったら比較にならないくらいの球なのに・・・)



話の切り出し方としては非常に姑息に、「アンプの購入を検討しているから何か貸してためさせてください」といった具合だったように思います。
二つ返事で許可を頂いて、ありがたい話にお店にあったこのアンプを発見。一目で「ラックスマンの球の高いヤツだ」と感想が出てくる程度には勉強していました。
(当時はラックスマンの中級プリメインアンプ針付きのモデルが欲しくて悶絶していました。)
貸すのはデジタルアンプ辺り、と言う話に出てきましたが、タッチの差でこのモデルが我が家に到着し、ロッサ氏と二人でニヤニヤしながら配線しました。


最初に出てきた音にはちょっと納得が出来なかったのをよく覚えています。言うほどいい音なのか?と。それはそうでしょうとも。球が温まっていないのだから。
暫く通電させていなかった為、と言うのも少々オカルトっぽい話ですが、影響していると思います。
実際に日に日に音が良く馴染むようになりました。(機材との兼ね合いもあるかもしれません)
その日の夜に聴き入ってしまって眠れなくなり、三日後には一度でも手放すことと言う選択肢を却下するような感じでした。
そのぐらい良く鳴るものですね。真空管って!(当時を思い出すと気分が高揚します)
耳で聴いていると言うより肌で聴いている。全身から染み入るように音を感じる。
少々大げさかもしれませんがそのくらいのことを感じた逸品でした。こいつは生涯手放さないと確信しつつ後日お会計。




こんな金額のものをぽいと買ったのは驚きを通り越して呆れる気はしますが、毎日楽しめると言う点ではまあ、悪くない・・・
昔から貯金していたカメラのお金の大部分をこのアンプに食われました。(そしてCDプレイヤーを購入し欠片も残りませんでした。)
それがこのアンプとの馴れ初めと言う話でした。次はこのアンプのパーツについて記述したいと思います。